照度の単位 lx(ルクス)とは
照明に関する言葉のひとつに「光束」があります。光束とは、照明から出る光のうち人間が感じる光の量のことを指しています。
では、部屋の明るさなどを考えるとき、照明が出す光の量だけを考慮すればよいでしょうか?
実はそうではありません。たとえば、照明で商品を明るく照らしたいという場合を考えてみましょう。
照明がたくさんの光を出していても、照明が商品から離れていれば商品はあまり照らされません。一方で、それほど光を出さない照明でも、照明を商品に近づけたり、スポットライトを使ったりすると商品は明るく照らされます。
こういった具合に実際に物が照らされる明るさのことを “照度” といい、単位は lx(ルクス)を用います。照度とは、照らされる度合いを表しているといってよいでしょう。
照度(lx)= 照らされた明るさ
部屋の明るさなども照度が重要になります。
実際、光束が大きくたくさんの光を出す照明がある部屋でも、照明と床の距離が離れていたり、家具などで照明の光が当たらなかったりすると部屋は暗くなってしまいます。
つまり、照明そのものが出す光の量ではなく、照明などによって床や壁などがどのくらい照らされたかに注目する場合に、照度(lx ルクス)を使って考えるとよいでしょう。
照度(lx ルクス)と光束(lm ルーメン)の関係
この照らされた明るさである照度と、照明などから出る光の量である光束との間には簡単な関係があります。
例えばいま、懐中電灯から1000lmの光が出ているとします。この光を壁にあてると、懐中電灯が壁に近いとき壁は明るくなりますが、壁から離れていくと懐中電灯からの光は弱まり暗くなっていきます。
同じ光の量(光束)でも照らされる面積が大きくなると暗くなるというわけです。
このとき、照らされた面積が2倍、3倍になるとその分だけ光は弱まってしまうので、明るさは1/2倍、1/3倍となります。よって、照明の光束と照らされた明るさ(照度)の関係は、以下のようになります。
照度(lx) = 光束(lm) ÷ 照らされた面積(㎡)
例えば、1000lmの照明が1㎡の範囲を照らしたときは1000lx、2㎡の範囲を照らしたときは500lxとなります。この式は照度を理解する基本的な関係ですので、きちんと理解しておきましょう。
身近な照度の値①
ではここで照度(lx)に慣れるために、 身近な照度を見てみましょう。
例 | 照度(lx) |
---|---|
晴天の太陽 | 100,000 |
曇り | 25,000~32,000 |
日の出、日の入り | 300 |
ろうそく | 10~15 |
月明かり | 0.5~1 |
月のない夜空 | 0.001 |
(大阪市立科学館 より引用)
まず、晴天の太陽の下は 10万lx 程度です。 また、曇りの日は 2万5000~3万2000lx です。ただし、実際には曇りと晴れの中間や、どんよりとした曇りの日もありますので、昼の屋外はだいたい数万lxと考えておけばよいでしょう。
しかし、タ方になると急に暗くなっていきます。
日の出日の入りになると、昼間より数百倍ほど暗くなって 300lx 程度です。ろうそくの炎は、20 cm 離れると 10~15lx 程度です。 月明かりはこれよりもさらに暗くなり 0.5~1lx 程度です。満天の夜空(月のない夜空)になると、さらに暗くなって 0.001lx 程度になります。
以上が身近な自然のおおまかな照度です。もし照明に関する勉強等をされている方であれば、これらの基本的な値は、ぜひ暗記しておくとよいでしょう。
満天の夜空(0.001lx)に比べると、晴天の太陽のもと(10万lx)は1億倍も明るくなっています。私たちは、1億倍も明るさが変わる世界で生きているのです。
身近な照度の値②
今度はもう少し具体的な照度を見てみましょう。以下の表は、JIS 照明基準をもとに作成したものです。
例 | 照度(lx) |
---|---|
ショーウィンドウの重要部 | 2,000 |
ショーウィンドウの全般部 | 750 |
手術室 | 1,000 |
精密工作、精密実験 | 1,000 |
オフィスの事務室、読書 | 750 |
キーボード操作 | 500 |
スーパーマーケット | 500 |
食堂、学校の教室 | 300 |
趣味、レジャーの店 | 300 |
ホテルの客室、家の書斎、子供部屋 | 100 |
家の階段、廊下、居間 | 50 |
喫茶店の客室 | 30 |
屋外通路 | 5~20 |
(JIS Z 9110:2010 照明基準総則より引用)
この表は一番下の行を除き全て室内の照度となっていて、室内の照度は 30~2,000lx です。 室内の照度(30~2000lx) は、屋外の昼間の照度(数万~10万lx) よりも、ケタ違いに暗いことを押さえておきましょう。
それでは、室内のそれぞれ具体的な照度を見ていきましょう。
ホテルの客室は 100lx、学校の教室や食堂は300lx、スーパーマーケットは500lx、オフィスの事務室は750lx ですから、室内の部屋の明るさは、だいたい数百lxになるようにすればよいことになります。
これは屋外でいうと日の出、日の入り前後の明るさに近いです。
一方、同じ室内でも、精密作業や細かい作業が必要な場合はより明るくします。例えば本を読むときは750lx 程度、精密工作や精密実験は1000lx 程度です。 手術室でも1000lx 程度ですが、手術部位については非常に重要なため、1万~10万lx が必要です。
このように細かな作業などが必要とされる場所はしっかりと照度を確保する必要があります。これは、人間は明るい方が視力が上がるためです。
逆に、家族で団欒するなどのくつろぐための場所は、照度を落とす場合があります。 例えば居間は50 lx、喫茶店の客席は、照明を少し暗くして 30lxなどにします。夜の屋外の通路は5~20lx 程度です。月あかり (0.5~1lx)よりも少し明るい程度ですね。
まとめ
- 照度(lx)とは、物が実際に照らされた明るさのこと
- 照度(lx) = 光束(lm) ÷ 照らされた面積(㎡)
- 昼の屋外はだいたい数万lx
- 室内の照度(30~2000lx) は、屋外の昼間の照度(数万~10万lx) よりも、ケタ違いに暗い
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